たんとすまいるに参加し、選択理論や自分の考え方について学ぶことで得られたメリットの一つは、自分の欲求を理解できたことである。
私たちの行動はしばしば無意識のうちに基本的な欲求によって動かされており、選択理論によれば、人間の行動は5つの基本的欲求によって規定される。
私は、その中でも自由の欲求が最も強い。この認識をもって過去を振り返ると、自由を求めるゆえの行動であったことに納得することが多い。
大学を卒業後、入社した会社では早々に違和感を感じた。具体的に何が問題であったかは言えないが、本来あるべき場所に収まっていない感覚があった。
入社して少し後、同窓の先輩から「お前は辞めそうだ」と言われたことが記憶に残っている(私の採用に深く関与していたリクルーターだったのに)。
高校生の頃から徐々に違和感を感じ始めていたが、状況を打破する行動を取るほどの度胸がなかった。
少なくとも当時はそう思い込んでいた。
そのため、周りと同じように受験し、進学し、就職活動をするという一般的なルート以外の選択肢を考えることはなかった。
会社に勤めている間も、上司に対して会社の文句を言うのがやっとだった。
それでも、もしゆったりと余裕を持って働ける環境であれば、それもそう悪くはなかっただろう。
しかし、ありがたいことに希望する配属先やキャリアは都度実現され、それに伴って仕事の忙しさは増すばかりだった。
今改めて振り返ると、会社で勤めること自体が、自分にとっては「不自由」だったのだと思う。
忙しいことはそこまで嫌だったわけではないが、同じくらい多忙でも自分で会社を設立したり、フリーランスとして活躍する友人を見ていると、そちらの方が「自由」だと思えた。元々自営業をしていたパートナーからも「一緒に働こう」と提案されており、自分が抱えていた仕事が一段落したタイミングで退職し、パートナーと働き始めた。
その結果、仕事の忙しさは今も変わらないが、以前と違って自分で選んだ仕事であり、日々自分で決断できる自由がある。安定はないかもしれないが、今の働き方が自分に最も合っていると確信している。
こうしたことを通じて思うのは、自分を理解することの大切さである。
かつての自分がそうであったように、自分をよく理解しないままに現状へ不満を感じるだけでとどまる人は少なくない。
選択理論を通じて自分を知ることができたのは、とても幸運だった。
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