たんとすまいるの加害更生プログラムに入ったころ、「なぜ、僕だけが責められて悪く言われなければいけないんだ」と思っていました。
今から約5年前の気持ちです。
僕は夫婦喧嘩をたかもしれないが、一方的に妻に暴力を振るったつもりはないし、妻は他の家庭と比べると気が強く、忍耐力もなく、わがままな人だと思っていました。
そのような妻に対して、僕だから何とか一緒にやれているし、誰よりも妻のことは知っていると信じていました。僕は彼女自身よりも彼女のことを知っていると思っていました。
そのような思考のままで、たんとすまいるに通い始めたので、当然のことながら僕よりも先に学んでいる仲間の意見にも懐疑的でした。
「あなたの価値観は間違っている」「あなたの認知は歪んでいる」とアドバイスをいただいても、素直に受け入れることができない日々が1年以上ありました。
それでも根気よく継続してグループに参加していると、徐々にですが気づきもありました。
あるとき仲間が僕に伝えてくれた「自分がDVをしていたと気づいたからには、再び同じことはできない」という言葉が僕の価値観を変えてくれました。
僕は、自分だけが悪いわけではないと言いながら、やはり自分が妻に嫌味を言って、怒鳴り散らし、思い通りにいかなければ不機嫌な態度をとり、何とか自分が思うような行動を彼女がとるように仕向けていたということは、知っていました。認めてはいませんでしたが。
グループで学びにつれ、徐々に自分の暴力を認めていくことができました。そのうえで、先の仲間の言葉が僕の心に入ってきたのです。
自分のこれまで家族にしてきた暴力の詳細を認めるにつれ、言い訳はできなくなっていきました。家族だけではなく、職場でも、公共の場所でも、他人を傷つける言動をしてきたことがわかってきました。
たんとすまいるでは、加害行為をしたことは過ちだが、加害行為をした人自身の人間性を否定するものではない、とう考えでみんなが学んでいます。
僕は以前が仲間がおっしゃっていた言葉通り、「自分がDVをしてきたことを認めたからには、絶対に同じ過ちを繰り返すわけにはいかない」という気持ちで日々を過ごしています。
怒りがわくこともある、不平不満を感じることもある、それでも他人を傷つけるような言動はしない、ということを最近はできるようになってきたと思います。
一緒に学んでいる、たんとすまいるのみんなのおかげで、別居中の子どもと面会交流ができるようになりました。
たんとすまいるの仲間、妻と子ども、職場の仲間、世の中で僕と関わってくれている人たちがいるから、僕が僕らしく生きていくことができるようになれてきたのだと思っています。
本当にありがたいことです。
「自分がDVをしていたと知ったからには、再び同じことはできない」
僕にこの言葉を伝えてくださった仲間も、きっと毎日同じ言葉を思いながら、ご自分と向き合って生活していることだろうと思います。
お互いに「もう、後戻りはできませんね」
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