これから書くことは、私にとって、とても重要なことです。
私は最近、仙台の弁護士さん「ドイホー」さんのブログを時々、読みます。この方は、連れ去り別居、DV、離婚、夫婦再生などの専門家ですが、基本スタンスが「夫婦を別れさせよう」ではなく、「つなぎとめよう」なので、私自身は信頼しています。つまり、よくありがちな、正義と悪の二元論ではなく、全体に偏った考えに染まっていないうえに、基本的にとても温かく、たんとすまいるの姿勢にも近いものを感じます。
ドイホーさんが言うには、離婚理由のほとんどは、八つ当たりだということです。たとえば、妻がイライラして、夫に文句を言って怒る。しかし、彼女が怒った元々の理由は、夫のこととは限らないというわけです。嫌なことが会社であったとか、体調不良であったとか、自分がうまく家事をできないとか、忙しくてイライラしたとか、あるいは性格そのものとか・・・。もっと言えば、妻の意識レベルからくる世界モデル(世界観)が、平和、安らぎ、豊かさでなく、世界に対して批判的でトゲトゲしているということも怒りの原因としてありえます。そうなると、そもそもの問題は、彼女が投影している心のあり方ということで、夫への怒りは八つ当たりになるわけです。
しかし、夫の方は、その八つ当たりに優しくできず、反論し、正そうとし、批判するわけです。そこで、闘いが起こり、場合によっては、DVに発展します。こうなると、妻の方は、もともと、他の原因や、自分の世界観や、性格や心にある不満でイライラしていたのに、その記憶は吹っ飛んでしまい、夫から、きついことを言われたという事実だけが一人歩きして、夫に対する強烈な悪感情の記憶が残り、「夫が悪い!」ということになるわけです。
つまり、人間の脳は、すごくいいかげんで、自分の都合のいいようなバイアスがかかるものなのです。これをドイホーさんは、米国の心理学者、ドナ・ヒックスの著書「ディグニティ(尊厳)」を紹介しながら、ブログに書いていました。
人間というのは、とても弱く、ネガティブで、脳はプログラミングされたおかしな方に動いて、失敗ばかりする生き物なのです。だから、相手の怒り、イライラに対して、バカ正直に反発し、正したり、文句を言ったりすれば、事態は悪くなるだけなのです。むしろ、相手が八つ当たりしてきたときほど、相手の苦しみを受け止めて、相手の尊厳を大切にしてあげれば、良いのです(といっても、私も長年、できませんでした)。
ドイホーさんがいうには、離婚理由というのは、最初は、そんな八つ当たりのようなすれ違いに過ぎないというわけです。私が最近、脳科学の本を読み、ケアの倫理を学び、「すべてを受け入れ、自分が変わる」ことを強く意識している背景には、こんなことがあるのですよ、と今回は、書いてみました。この話は、とても重要な話なので、プログラムのどこかで話したかったのですが、なかなか、いいタイミングが来なかったので、ここで書きました。
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