日本原水爆被害者団体協議会が2024 年のノーベル賞を受賞し、代表委員の田中熙巳さん
が演説をされた。その中で被団協は「生きながらえた原爆被害者は歴史上未曽有の非人道的
な被害をふたたび繰り返すことのないようにと、二つの基本要求を掲げて運動を展開してま
いりました」と述べて、一つは戦争を開始し遂行した国、すなわち日本政府による償い、も
う一つは非人道的である核兵器の速やかな廃絶、人類との共存の否定を訴えていた。これら
は、DV をしてきた私に言われていることと同等と捉えられる。
暴力を選択してきた人間がその最終責任を持って償うこと/償い続けることは必然性を疑
う余地がない。私の加害行為がなければ、パートナーの人生が私によって傷つけられる機会
がなかったはず。申し訳ない。私の加害行為を認めて今できることを実行し続けること、将
来にわたって自分の言動に責任を持つこと、そして自分が変わり続けることが償いかもしれ
ない。
そして暴力を選択しないこと、これを今一度刻まなければならない。自分が生きるために
他人を攻撃する/否定する/下に見る選択は間違っている。環境の違いは価値観の違いをもた
らす原因の一つになりうる。価値観の違いは決して統一される必要はない。暴力はその大小
にかかわらず生活に不要、共存するべきものではない。
他人を脅し、支配し、あるいはコントロールして自分の理想を実現したところで何か生産
的なことがあるだろうか。不安や恐怖から防衛的な思考が突出すると正しさを振りかざし排
他的な選択になってしまう。相手を尊重し、共感することで絆が深まったり、思いやりのや
りとりが生まれたりするのだと思う。
自分の上質世界は自分で作り上げる責任があると選択理論では述べている。独りよがりの
上質世界が安心なのか、大切な人達が含まれる上質世界を楽しむのか、来年もよく考えて、
良い一年にしていこうと思う。
3-23