怪獣が生まれた日

「家族」とは、私の幸せであり生き甲斐でした。

私はどこにでもいる子煩悩なお父さんで、

子供が産まれるまでは たくさんの趣味に時間とお金を使ってきましたが、子供が産まれてからは その全てを子供のために使っていました。

子供が産まれた当初は 無事に産まれてきてくれてありがとうと他に望むものはありませんでしたが、

子供が大きくなるにつれて この子は頭が良いんじゃないかと親バカが炸裂し、 子供の将来に期待を抱くようになりました。

子供と遊んでいるときは いつまでもこの子の友達のような存在でいてあげようと思う気持ちも、いつしか大きな上下関係となり 怖いお父さんになっていました。

 

そうです私は『怪獣』になってしまったのです。

 

妻への愛する気持ちも いつしか伝わらないほど嫌なやつになり、子供への愛情も いつしか身勝手な躾をする怪獣になりました。

 

怪獣が生まれた日 今でこそ自分で選択したと言えますが、当時はそんな知識もなく 怪獣はこの後どうなるかも考えず 自分の信じるまま進みました。目の前の障害は踏み潰しながら 壊れた物は元に戻りません。ウルトラマンが出てきてやっつけてくれればよかったのですが、現実では怪獣は生き残り 自分で牙を折り 責任を負いました。

 怪獣は現在 自分の子供に会えず、街で泣いている子供を見ると身体が硬直する感覚を覚えます。それに対して、親が怒っている姿を見ると「やめてあげてよ」と思うのと同時に、なぜあのとき自分の子供に「大丈夫だよ」と言ってあげられなかったのか自責の念にかられ 涙してしまいます。

 

元パートナーや子どもたちにとって私はまだ怪獣なのか分かるすべもなく、今日も学んでいきます。

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