DV被害の経験を持つ方々に、過去を振り返ってそのときの自分の状況や気持ちを伺いました。
また、たんとすまいるの被害回復プログラムの参加を通して、前に向かって踏み出された方々にその体験を語っていただきました。
誰にも言えず、夫の理不尽な暴力を受けつづけていたのは2年間。一番怖かったのは首を絞められて攻撃をされた時でした。
それでも暴力を振るった後は、泣いて謝ってくるのでなかなか離婚に踏み切れず、当時は自分がDVを受けていることすら気がついていませんでした。
ようやく母に打ち明けて、離婚を決意。離婚後一番大変だったのは、子供を抱えての経済面での自立でしたが、仕事があったのでなんとか乗り切りました。
なにより夫の顔色をうかがったり、嫌な言葉や暴力から解放されたことで、大きな安心感を得ることができました。
当時のことを客観的にとらえられるようになるまでに随分時間がかかりましたが、それができたことが回復につながったと思っています。
今では、自分には必要な経験、この経験があったから今があるとさえ思えるようになり、人の痛みがわかるようになりました。子供を授かったことにも感謝しています。
今DVで悩んでいる方がいらしたら、相手の行動に耐えている日常を当たり前だと思わないでほしい。幸せになることを諦めないでほしいと言いたいですね。
< 42歳 DV経験2年>
私は結婚後18年間にわたり、夫から暴力を受け続けてきました。何度も逃げ出そうと思いましたが、車の中で逃げられないようにロックをかけられて殴られたり、抱いている子供を奪い取られて連れて行かれたりしたことが一番つらかったことです。
友達にも打ち明けられませんでしたが、それでも友人と一緒に楽しい時間を過ごす時だけが、不安や孤独感を忘れられる時間でした。
自分が耐えてきたことがDVだと知ったのは、公共機関のトイレに置いてあったカードを見た時。その後3ヵ月程して健康福祉センターに行き、初めて自分の状況を打ち明け、相談しました。図書館に置いてあったDVの本も読みました。
家から逃げ出し、警察にも相談し、ようやく調停によって離婚が成立した時は、自分でもよく頑張ったとほめてあげたい気持ちでした。
夫の元を離れた直後は、夫に復讐することしか考えられず、一方では子供の将来を考え、自分を責め、病気にもなってしまいました。でも今は、DVや虐待の本を読んだり、同じ経験をもつ人と友達になったり、資格を取得したことで、自分の経験を前向きにとらえ、自分や子供達が幸せになることだけを考えられるようになってきました。
< 49歳 DV経験18年>
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